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研究概要

領域代表村上 修一

準粒子の混成が拓く
新物性研究

準粒子とは物質中で粒子のように振舞う量子力学的存在です。複雑な物性現象を少数の準粒子の運動として理解でき、準粒子の概念は物性物理学の発展に大きな役割を果たしてきました。例えば、光はフォトン、振動や音はフォノン、磁気の運動はマグノンという準粒子で表され、多様な準粒子が固体中に存在します。しかし異種準粒子同士は固有の長さ・時間スケールが異なるため、通常ほぼ独立に振舞います。このスケールの差を超えて準粒子同士を混成できれば物質の新しい性質や機能につながります。本領域ではこうした混成準粒子を「キメラ準粒子」と名付け、多様な準粒子の組み合わせのキメラ準粒子を横断的に研究します。スケール超越のスキームを導入してキメラ準粒子を自由自在に設計することで、それが紡ぎだす新しい性質や機能を見出すのが本領域の目的です。スピントロニクス、メタマテリアル、キラル分子の3分野を中心とする研究者が集まり、分野横断的にキメラ準粒子の新しい学理構築を目指します。

Overview

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分野をまたぎ準粒子の混成を促進

多種多様な準粒子達を"化学反応" させ「キメラ(融合体)」を創出し、キメラ準粒子の物性、機能性を明らかにすることで物質科学全体に新展開をもたらします。従来、個別に研究されてきた準粒子の結合を引き起すためには、人工構造、物質・分子設計、対称性設計などさまざまな高次のスキームの導入し、分野の壁を越えることが必要不可欠となります。

キメラ準粒子

準粒子A

準粒子B

スケール超越

スケール超越

物質・分子設計

対象性設計

人工構造

キメラ準粒子とは?

多種多様の準粒子を融合させて創り出される新たな準粒子をキメラ準粒子と呼びます。ところが実際の準粒子同士は、時間スケール・空間スケールの相違などにより独立に振る舞う場合がほとんどです。本領域では、スケールの相違を超越し(スケール超越)独立に研究されてきた準粒子同士を"化学反応" させて「キメラ(融合体)」を創出し、キメラ準粒子の物性、機能性を明らかにします。

スケール超越

2つの準粒子の結合を生み出すには、時間的スケールである時間周期、および空間的スケールである空間波長を両準粒子で合致させる必要がありますが、通常、準粒子は異なるスケールを有し、キメラ化が阻害されています。このスケール断絶を乗り越えてキメラ準粒子を生成するために、準粒子本来のスケールを越える「スケール超越」が必須となります。

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