総括班
氏名 | 所属研究機関・職 | 役割分担 | |
研究代表者 | 村上 修一 | 東京工業大学理学院・教授 | 研究総括 |
研究分担者 | 深見 俊輔 | 東北大学電気通信研究所・教授 | 事務・知財管理 |
研究分担者 | 中田 陽介 | 大阪大学大学院基礎工学研究科・准教授 | ホームページ・広報 |
研究分担者 | 谷口 耕治 | 東京工業大学理学院・教授 | 会議企画・連絡調整 |
研究分担者 | 能崎 幸雄 | 慶應義塾大学理工学部・教授 | 戦略策定 |
総括班は領域全体の円滑な運営に責任をもち、特に分野融合を強力に推進することを使命とする。そのために必要な領域内の体制の構築、領域会議や研究会の開催、ホームページ等を通じた領域の研究成果や各種イベントの広報、などを行う。また分野融合の種や新規分野開拓の種を見出しその発芽を支援し育てるために、領域内の研究室間の交流や、領域外のコミュニティとの交流の仕組みを作り、その活動に必要な支援、例えば研究室間の交流に必要な旅費支援などを行う。これらを通じて、スケール階層ごとに分割されていた物性科学を統合する「キメラ準粒子科学」確立に向けたサポートを行う。
A01:キメラ準粒子の理論
氏名 | 所属研究機関・職 | 専門 | |
研究代表者 | 村上 修一 | 東京工業大学理学院・教授 | スピントロニクスおよびトポロジカル相の理論 |
研究分担者 | Bauer Gerrit | 東北大学材料科学高等研究所・教授 | スピントロニクス理論 |
研究分担者 | 永長 直人 | 理化学研究所基礎量子科学研究プログラム・ディレクター | 電子物性理論 |
研究分担者 | 森本 高裕 | 東京大学大学院工学系研究科・准教授 | トポロジカル応答、非線形・非平衡現象を中心とした物性理論 |
研究分担者 | 望月 維人 | 早稲田大学理工学術院・教授 | マルチフェロイックス・トポロジカル磁性体 |
準粒子とは物質中で粒子のように振る舞う量子力学的存在で、フォトン(光)、フォノン(振動)、マグノン(磁気)等の多彩な準粒子が存在する。複雑な物性現象は少数の準粒子の運動として理解できる。本領域では多種類の準粒子を自由自在に結合させた「キメラ準粒子」を創出し、物質科学の新展開を目指す。この班では理論の立場から、従来の単一準粒子の学理をもとにキメラ準粒子の新学理の提案を行う。その目標は、キメラ準粒子の構成法提案、キメラ準粒子の新規物性の理論予言、新規なキメラ準粒子の可能性の探索、の3つである。また領域内実験班と緊密に連携し、実験で出てきた諸課題や実験から着想を得た新理論の芽を機動的に研究する。
B01:キメラ準粒子のアーキテクチャー
氏名 | 所属研究機関・職 | 専門 | |
研究代表者 | 中田 陽介 | 大阪大学大学院基礎工学研究科・准教授 | メタマテリアル汎論、テラヘルツ応用 |
研究分担者 | 久保 若奈 | 東京農工大学工学研究科・教授 | メタマテリアル、プラズモニクス、ナノ加工 |
研究分担者 | 中嶋 誠 | 大阪大学レーザー科学研究所・准教授 | テラヘルツ工学・超高速分光 |
研究分担者 | 冨田 知志 | 東北大学高度教養教育・学生支援機構・准教授 | メタマテリアル科学 |
研究分担者 | 森竹 勇斗 | 東京工業大学理学院・助教 | ナノフォトニクス |
本研究ではフォトン、フォノン、マグノンといった多種多様な準粒子を「化学結合」させ、互いの機能が融合するとともに新たな特性を発現するキメラ準粒子を実現する。従来、多くの準粒子は空間的、または、時間的な大きさが異なり、互いに結合することがなかった。この問題を解決するため、メタマテリアルと呼ばれる人工構造により準粒子反応を促進する反応場を創り出す。構造の空間的制御のみならず時間的制御も行い、時空間全体に渡ってメタマテリアルを作り出す技術を開発する。時空間メタマテリアルで生成された反応場中で様々な準粒子を反応させ、キメラ準粒子を創り出し、基礎特性と応用可能性を開拓する。
B02:キメラ準粒子の物理
氏名 | 所属研究機関・職 | 専門 | |
研究代表者 | 能崎 幸雄 | 慶應義塾大学理工学部・教授 | 非線形スピンダイナミクス |
研究分担者 | 塩田 陽一 | 京都大学化学研究所・准教授 | スピントロニクス |
研究分担者 | 大谷 義近 | 東京大学物性研究所・教授 | 新奇スピン変換現象の探索、非線形スピン変換手法の開拓やそれによる磁化状態制御の研究 |
研究分担者 | 小野 崇人 | 東北大学工学研究科・教授 | スマート材料のナノエンジニアリングやそのナノ電気機械デバイス応用 |
研究分担者 | 有沢 洋希 | 東京大学大学院工学系研究科・助教 | スピン角運動量と力学運動の相互変換現象を探求する実験研究 |
マイクロ機械工学(MEMS)技術と固体薄膜化学を融合し、マイクロ~ナノ加工した磁性体や、半導体、超伝導体、低対称分子を複合化させた新しい超構造を創出することにより、キメラ準粒子の創成に基づく物性機能発現の物理科学を構築する。また、音や磁気、電子、核スピン、トポロジーの物性を支配する準粒子を反応させたキメラ準粒子(磁気を帯びた音波や磁気量子、核-電子融合体、電子-磁気トポロジーなど)の新奇物性を解明するため、超精密時間制御された電気・光測定法やスピン検出法を新たに開発する。さらに、キメラ準粒子固有の新奇物性を活用し、熱や音、磁気、電気、核スピン、トポロジーを複合的に操る新原理を創成する。
B03:キメラ準粒子の分子科学
氏名 | 所属研究機関・職 | 専門 | |
研究代表者 | 谷口 耕治 | 東京工業大学理学院・教授 | キラル物性科学 |
研究分担者 | 中村 優男 | 理化学研究所創発物性科学研究センター・上級研究員 | 界面物性 |
研究分担者 | 三輪 真嗣 | 東京大学物性研究所・准教授 | 磁気デバイス物性 |
研究分担者 | 廣部 大地 | 静岡大学理学部・助教 | 有機‐無機バルク結晶のキラリティ誘起現象 |
研究分担者 | 安藤 吉勇 | 東京工業大学理学院・准教授 | 天然有機化合物を標的とした合成研究 |
本研究では、空間反転対称性の破れた有機分子や有機‐無機ハイブリッド化合物/界面を舞台に、複数の準粒子を結合させたキメラ準粒子を生み出し、機能物性開拓を行う。有機分子/有機分子を組み込んだ無機物質とのハイブリッド系を、異なる準粒子同士を結合させうる、対称性制御の可能な柔軟な反応場とみなすという独自の視点に基づき、準粒子の組み合わせを開拓していく。たとえば、キラル分子を導入した系における電流とスピン流のキメラ準粒子混合や、極性をもつ分子系における光励起準粒子の生成などを通して、物質設計に立脚した「キメラ準粒子分子科学」の創出を目指す。
C01:キメラ準粒子のエレクトロニクス
氏名 | 所属研究機関・職 | 専門 | |
研究代表者 | 深見 俊輔 | 東北大学電気通信研究所・教授 | スピントロニクス物理・材料・素子、及び情報技術応用 |
研究分担者 | 湯浅 裕美 | 九州大学システム情報科学研究院・教授 | スピン依存伝導、磁気ダイナミクス、熱電現象 |
研究分担者 | 畑中 大樹 | NTT物性科学基礎研究所・主任研究員 | フォノニック結晶、マグノメカニクス、弾性トポロジカル絶縁体 |
研究分担者 | 関 真一郎 | 東京大学大学院工学系研究科・准教授 | トポロジカル磁性、マグノン輸送、新物質開拓 |
研究分担者 | 飯浜 賢志 | 名古屋大学工学研究科・准教授 | 超高速フォトスピントロニクス |
物性科学は現代エレクトロニクスの基盤であり、また物性科学研究は準粒子の研究に集約される。本領域はキメラ化による新種の準粒子を創出して物性科学に変革をもたらすことを目指すものであり、その中で本研究ではエレクトロニクス展開に向けた学理構築を担う。(単一)準粒子に基づくデバイス研究での実績に基づき、本課題では他班との協奏を通して、デバイス利用の観点からキメラ準粒子創出に向けた課題を提供し、また創出されるキメラ準粒子の工学利用方法を明らかにする。これらを通して本領域全体の成果を、将来の情報処理・記憶デバイス、通信デバイス、発電デバイス、量子デバイスなどへと波及させる基盤を形成する。